睡眠障害(不眠症)の症状経過
「睡眠障害対処12の指針」
「睡眠障害の診断・治療ガイドライン作成とその実証的研究班」
平成13年度研究報告書より
- 睡眠時間は人それぞれ、日中の眠気で困らなければ十分
- 刺激物を避け、眠る前には自分なりのリラックス法
- 眠たくなってから床に就く(就床時刻にこだわりすぎない)
- 同じ時刻に毎日起床
- 光の利用でよい睡眠
- 規則正しい3度の食事、規則的な運動習慣
- 昼寝をするなら、15時前の20~30分
- 眠りが浅いときは、むしろ積極的に遅寝・早起きに
- 睡眠中の激しいイビキ・呼吸停止・足のぴくつき・むずむず感は要注意
- 十分眠っても日中の眠気が強い時は専門医に
- 睡眠薬代わりの寝酒は不眠のもと
- 睡眠薬は医師の指示で正しく使えば安全
睡眠時間は人それぞれ、日中の眠気で困らなければ十分
日中にしっかり目覚めて過ごせるかどうかが睡眠充足の目安であり、必要な睡眠時間が8時間だという学問的根拠はなく、歳をとるほど短くなります。 成人の場合は、6~7時間が睡眠充足の目安となり、70歳以上の方では6時間で十分です。
刺激物を避け、眠る前には自分なりのリラックス法
カフェインの覚醒作用は摂取後約30~40分後に現れ、4~5時間持続します。したがって、就床前4~5時間の摂取は避けるようにします。またタバコに含まれるニコチンは交感神経系の働きを活発にして、睡眠を妨げますので、就眠直前のタバコは避けるべきです。 リラックス法としては軽い読書、静かな音楽、ぬるめの入浴、アロマ、筋弛緩トレーニングなどがあります。
眠たくなってから床に就く
(就床時刻にこだわりすぎない)
自然に寝つくことのできる時刻は、季節や日中の活動量により変化します。就床時刻はあくまで目安であり、その日の眠気に応じて、眠くなってから床につくことがスムーズな入眠への近道です。眠ろうとする意気込みは、かえって頭をさえさせ寝つきを悪くします。
同じ時刻に毎日起床
毎朝同じ時刻に起床し、起床後なるべく早い時間に太陽の光を浴びることが、速やかで快適な入眠をもたらします。早起きが早寝に通じます。ですから日曜日に遅くまで床で過ごすと、月曜日の朝がつらくなります。
光の利用でよい睡眠
人は、太陽の光を浴びることによって、体内時計のリズムがリセットされ、そこから約15~16時間後に眠気が出るようになっています。光によるこのリセットが行われないと、寝つくことのできる時刻が約1時間遅れます(人体は25時間周期の体内時計をもっているため)。快眠のためには起床後なるべく早くに太陽の光を浴びることが大切です。また、夜には明るすぎない照明をお勧めします。
規則正しい3度の食事、規則的な運動習慣
朝食は、脳へのエネルギーを補給して、体温を高め、活動レベルを高めます。一方、夜食のとり過ぎは睡眠が妨げます。夜食をとる場合は消化のよいものを少量にしてください。また、昼間の運動習慣は熟睡を促進します。
昼寝をするなら、15時前の20~30分
日中に30分以上の長い昼寝をするとかえってぼんやりしてしっかり覚醒するのが困難になります。また夕方以降の昼寝は、夜間の睡眠に悪影響を及ぼします。昼寝をする場合は昼食後から15時までの20~30分をおすすめします。
眠りが浅いときは、むしろ積極的に遅寝・早起きに
睡眠に対して意識過剰になり、少しでも長く眠ろうとして必要以上に長く寝床で過ごすことは、かえって睡眠を浅くして、夜中に目覚めやすくします。このようなときは、むしろ遅寝、早起きにすることで熟睡感が増します。
睡眠中の激しいイビキ・呼吸停止
足のぴくつき・むずむず感は要注意
睡眠と関連して起こる身体の病気により、夜間の不眠、日中の眠気が起こることがあります。睡眠中の激しいイビキ、呼吸停止、足のぴくつき・むずむず感を感じる場合は、病気が潜んでいる可能性が高く、危険なサインと考えて専門医の診断を受けることをおすすめします。
十分眠っても日中の眠気が強い時は専門医に
長時間眠っても日中の眠気がつよく仕事・学業に支障がある場合は、専門医に相談してください。日中の過剰な眠気は睡眠の質的・量的低下によるものがほとんどですが、中には過眠症という病気が隠れている場合があります。
睡眠薬代わりの寝酒は不眠のもと
睡眠薬代わりにアルコールを使用すると、一時的に寝つきはよくなりますが夜間後半の睡眠が浅くなり、途中で目覚める原因となります。連用すると慣れが生じ、使用量が増加しますので寝酒は禁物です。 また、依存症や肝障害などの精神的・身体的問題が起こりやすくなりますので注意が必要です。
睡眠薬は医師の指示で正しく使えば安全
現在使われている睡眠薬は、昔使われていた睡眠薬とは違うもので、正しく使用すれば安全です。医師の指示を守って服用し、服用後は30分以内に床についてください。